新文芸坐で「ウィッカーマン」(1973年版)を観てきた。
併映の「エレファントマン」は、長いのと同じ場所にとどまるのがためらわれて、2本立ての料金を払ってるのがもったいないけどパスしました。
イギリスの辺境サマーアイル島という場所に、行方不明の少女を捜索しに行く警察官が、その島の奇妙な風習に巻き込まれ、そしてクライマックスの五月祭へ……といった作品です。
全裸で交わる男女やら、男女別クラスで教えられる内容が生殖に関することだけとか、下ネタしか歌ってない島の住人とか、とにかく生理的に気持ち悪いです。なんというか、敬虔なクリスチャンである主人公がひたすらセクハラされているところを見せられるような。とにかく気の毒な話だった。
島の支配者であるサマーアイル卿を演じるクリストファー・リーが、まさに教祖といった感じで良かったです。
話は全く通じないんだけど、それっぽい人いそう感がすごい。
「ミッドサマー」の元ネタ、とか言われてますけど確かにオマージュはしていると思う。でもアリ・アスターの方はもっとひねってる感じがするかな。
極限状態に追い込まれた主人公が必死でそらんじる詩編23章に哀愁漂っていました。
この上映のテーマは「何にすがれば生きていけるのか」だそうで、まあ納得。
賛歌、ダビデの詩
主は羊飼い、わたしには何も欠けることがない。
主はわたしを青草の原に休ませ
憩いの水のほとりに伴い
魂を生き返らせてくださる。
主は御名にふさわしく
わたしを正しい道へと導かれる。
死の陰の谷を行くときも
わたしは災いを恐れない。
あなたがわたしと共にいてくださる。
あなたの鞭、あなたの杖
それがわたしを力づける。
わたしを苦しめる者を前にしても
あなたはわたしに食卓を整えてくださる。
わたしの頭に香油を注ぎ
わたしの杯を溢れさせてくださる。
命のある限り
恵みと慈しみはいつもわたしを追う。
主の家にわたしは帰り
生涯、そこにとどまるであろう。
(旧:詩編23章1節から6節、「聖書」新共同訳)
久々に詩編とか読んだけど、確かにこれは有名な箇所だ。
哲学・宗教学専攻だったのに結局文学系の卒論を書いたので、キリスト教からかなり遠ざかっていたけど、もっとちゃんと勉強しないとな。
オックスフォード大学出版会が出した”Feminism and Theology”という論文を集めた学術書があるんですが、それもなかなか面白いことが書いてあるので、ゆっくり紹介していきたいです。