ものすごく間が空きました。平たく言うと病気療養で仕事を半年休み、そのあと復帰して働いていたのと、PCが重すぎて開けなくなり、いやになって文章を書くのをやめていました。
 ていうか仕事もCMS使って記事入稿するみたいな作業が多くて、書きながら仕事してる気分になってきた。とりあえず今は必要に迫られて凪良ゆう『流浪の月』(東京創元社)を読んでいる。ヒロインの更沙が、よくわからないけどとにかくムカつく感じの女性なので、映画では広瀬すずがいい感じに演技し沙てくれるのではないでしょうか。あと、文(更沙を誘拐する10歳年上の男)は松坂桃李ではなく、本郷奏多とかがいいんじゃないかな。
 書いていて、NHK連続テレビ小説『カムカムエヴリバディ』の脚本家の藤本有紀が「悪人を作らない脚本にした」とか言っていたことを思い出した。「自分はイノセントです」と言いたがる言い訳がましい登場人物の内面をなぞっていくのが苦痛……。

写真撮影をするモデルの笑顔とか、容赦なくばしゃばしゃと音を立てるカメラとか、ギラギラの照明とか、そうしたものを見ていると自分が本当にここにいるのかどうかわからなくなる。

カメラがシャッターを押すたびに
からっぽになってゆく気がする
いつも叫びたくなるのを
必死で抑えているのよ
いつかあたしは叫び出すだろう
その前に……ああ…なんとかしなくては…
(「ヘルタースケルター」岡崎京子、祥伝社)

私はただのセットの外側のオブザーバーでしかないけど、被写体として活動する人は、写真撮影現場の真っただ中で自分の容姿をオブジェクトとして撮影されてゆく。ぶつぎりの音と強い光によって、なんだか自己の統合したイメージを分割されている作業の途中みたいに思う。Twitterとかで、よく素人が「被写体」活動していますなんて言うけれど、自己イメージを写真家が作品としたものから取り返すのってものすごく大変な作業だと思う。まあでもカメラマンごっことモデルごっこという壮大な枠組みのなかで、TwitterやInstagramを用いてリアルままごとしているだけなのだろう。(断定的すぎ?)

 相変わらずMelanie Martinezの曲を聴いている。あと中島みゆき。

Oh Mrs. Potato Head, tell me
Is it true that pain is beauty?
Does a new face come with a warranty?
Will a pretty face make it better?
Oh Mr. Potato Head, tell me
How did you afford her surgery?
Do you swear you’ll stay forever?
Even if her face don’t stay together
Even if her face don’t stay together
(Mrs. Potato Head, Melanie Martinez)

Mr.ポテトヘッドって愛妻家のキャラクター?でしたね。顔のパーツがしょっちゅうバラバラに散らばるおもちゃを、整形手術になぞらえるワーディングと同時に叶えているのは面白いなと思う。あと、独特の引きずるようなリズムなのにふわふわしたパステルカラーがぴったりなところ。バランス感覚に優れているアーティストだと思う。

 より多くの人へ届く価値ある情報って何?ということを日々考えていると、別に趣味で書かなくてもよいのではないかという気がしてきます。でもこれはこれで趣味なので続けないと……と思います。誰に読ませるでもないというか、もちろん世に出すだけどういう内容は書かないでおくべきかは考えますが、それ以外の領域を自分に残しておくということが大事だということです。しかしこれもいつまで続くか……。

 先週の火曜日(正確には水曜日の0時半ごろ)足の指を折った。あまりにもあほらしい怪我なんだけど自分の記録のため書き残しておきます。ちなみに治療は固定と痛み止めだけ。あざがまだあるんだけど、ぞっとするような青い色で、我ながら気持ち悪い。今まで気遣っていなかったわけではないけど、大きな骨折をした人にもっと優しくしようと思いました。

映画館がレイトショーやっていないせいで、ぜんぜん行けていない。
シン・エヴァンゲリオンももちろんダメ。しかし、クリエイター(庵野)側からしたら25年前に作ったもののケリをつけろ、って観客側からもプロダクション側からも言われ続ける人生ってめっちゃ辛かっただろうなー。シン・ゴジラはいわゆる怪獣ものの映画ではないんじゃないかと思うけど(あれは庵野の作品ではあるがゴジラシリーズらしさはない?)、本人のセラピーになったのなら良かったです。

 3月13日までに読んだ本。
・『呪術廻戦』8から14巻
・『マリア様がみてる』シリーズの21から31、今野緒雪、集英社コバルト文庫
・『太陽の庭』宮木あや子著、集英社文庫
・『雨の塔』宮木あや子著、集英社文庫
・『ハチミツとクローバー』1から10、羽海野チカ、集英社
・『ヴァンサンに夢中』エルヴェ・ギベール、集英社
 そんなつもりなかったのに読んだ本が全部集英社から出ていた……。総合出版社ってすごいですね。まだまだマリア様がみてるの続きを読んでいるのと、「お釈迦様もみてる」シリーズも読まないと。TOEICの勉強はしていない。5月か6月くらいにもう一回受けようかなー。
 宮木あや子は嶽本野ばらが好きらしいけど、『太陽の庭』『雨の塔』『官能と少女』『あまいゆびさき』みたいな、ちょっと野ばらちゃんの耽美さを見習っているんだろうなという作品に関しては、作者の「参照元」みたいなものが透けて見えてくる感じがする。森茉莉とか嶽本野ばら、皆川博子、山尾悠子みたいな、根っからの耽美志向という感じよりも頭の良さと計算で、「こういう作品」を作ってる、みたいな。だからなのかはわからないけど、同じ宮木あや子が書いたものならエンタメ路線の作品(『校閲ガール』シリーズ、『野良女』『婚外恋愛に似たもの』『憧憬☆カトマンズ』『セレモニー黒真珠』『CAボーイ』『帝国の女』とか。ちなみにこれらは全部同じ世界観設定であり、本筋に大きく関わらないけれども共通の登場人物が存在する)のほうが、私は純粋に楽しめる。でもこれも好き好きがあるものだから、誰かに押し付けるようなものでもないですよね。

2月によんだ本。
・『呪術廻戦』0から7巻
・『夢』(書物の王国シリーズ)東雅夫編、国書刊行会
・『悪魔の恋』ジャック・カゾット著、渡辺一夫訳、国書刊行会
・『婚外恋愛に似たもの』宮木あや子、光文社文庫
・『CAボーイ』宮木あや子、KADOKAWA
・『憧憬☆カトマンズ』宮木あや子、メディアファクトリー
・『マリア様がみてる』シリーズ1から20まで、今野緒雪、集英社コバルト文庫
・『この世にたやすい仕事はない』津村記久子、新潮文庫
・『ダークウェブ・アンダーグラウンド 社会秩序を逸脱するネット暗部の住人たち』木澤佐登志、イーストプレス
・『バナナブレッドのプディング』大島弓子、白泉社文庫
・『櫻の園』吉田秋生、白泉社
・『「ファット」の民族誌ー現代アメリカにおける肥満問題と生の多様性』碇陽子、明石書店
・『グリーン・ノウの子どもたち』ルーシー・M・ボストン著、評論社
・『狼少女たちの聖ルーシー寮』カレン・ラッセル、河出書房新社