写真撮影をするモデルの笑顔とか、容赦なくばしゃばしゃと音を立てるカメラとか、ギラギラの照明とか、そうしたものを見ていると自分が本当にここにいるのかどうかわからなくなる。
カメラがシャッターを押すたびに
からっぽになってゆく気がする
いつも叫びたくなるのを
必死で抑えているのよ
いつかあたしは叫び出すだろう
その前に……ああ…なんとかしなくては…
(「ヘルタースケルター」岡崎京子、祥伝社)
私はただのセットの外側のオブザーバーでしかないけど、被写体として活動する人は、写真撮影現場の真っただ中で自分の容姿をオブジェクトとして撮影されてゆく。ぶつぎりの音と強い光によって、なんだか自己の統合したイメージを分割されている作業の途中みたいに思う。Twitterとかで、よく素人が「被写体」活動していますなんて言うけれど、自己イメージを写真家が作品としたものから取り返すのってものすごく大変な作業だと思う。まあでもカメラマンごっことモデルごっこという壮大な枠組みのなかで、TwitterやInstagramを用いてリアルままごとしているだけなのだろう。(断定的すぎ?)